筋持久力を向上させるタヒボ茶ポリフェノール

筋骨格研究
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Single dose administration of Taheebo polyphenol enhances endurance capacity in miceマウスへのタヒボ茶ポリフェノールの単回投与は筋持久力を向上させる。

今回まとめるのは、早稲田大学・鈴木克彦教授の研究グループと近畿大学・飯田教授の研究グループ、University of Physical Education(ハンガリー)・Prof. Radakの研究グループとの共同研究の成果になります。

筋持久力の重要性

筋持久力はアスリートだけでなく一般人にとってもQOL(生活の質; quality of life)向上に重要です。高い持久力は血圧・内臓脂肪・中性脂肪・インスリン・血糖などを低下させることが報告されています。また、ラットでは高持久力により寿命が延びることも示唆されています。

運動とエネルギー

エネルギー産生経路

持久力運動中は、炭水化物(糖質)と脂質が主にエネルギーとして使われます。低強度の長時間運動は、脂質がエネルギー産生の主なソースになります。一方、強度が高くなる炭水化物がエネルギーとして使われるようになります。

低強度・長時間運動の場合、筋のグリコーゲンが枯渇することが疲労の原因となります。一方、高強度運動の場合の疲労は、乳酸などの代謝物の蓄積が原因となります。
※グリコーゲン:多数のグルコースが繋がったもの。過剰なグルコースを一時的に貯蔵している。

サプリメント摂取による持久力の向上

持久力を向上させるには、トレーニングと栄養サプリメントの摂取が重要です。これまでに、緑茶抽出物やポリフェノール、L-カルニチン、タウリン、カプサイシンなどが持久力を向上させる効果を持つことが示唆されています。例えば、緑茶抽出物は脂肪酸を酸化(β酸化)させてエネルギーに変換することで、持久力を向上させます。玉ねぎなどに含まれるケルセチンは、PGC-1α(筋に良い効果をもつタンパク質)とミトコンドリア生合成を活性化させることで持久力を向上させます。また、ポリフェノール類は抗酸化作用により筋持久力を向上させます。

タヒボ茶

 Tabebuia avellanedaeと呼ばれる樹は、ブラジルから北アルゼンチンにかけて存在する熱帯雨林が原産となっています。この樹の内部樹皮からの抽出物をタヒボといいます。これまでに、タヒボは抗がん作用・抗炎症作用・抗酸化作用・抗肥満作用などを持つことが報告されています。

タヒボポリフェノールの効果(マウス)

タヒボポリフェノールは運動後の下記の因子に対して効果を示した。

  • 筋持久力
  • 血糖値・骨格筋グリコーゲン
  • 筋・肝臓グリセロール濃度
  • 血中ケトン体
  • グリコーゲン代謝に関わる遺伝子(グリコーゲン合成酵素・グリコーゲンホスホリラーゼ)
  • 肝臓の糖新生に関与する遺伝子(G6Pase)
  • 脂肪酸代謝に関与する遺伝子(ACC1)
  • カルボニル化タンパク質(異常タンパク質)

まとめ・コメント

 本論文では、タヒボポリフェノールが筋持久力を向上させる作用を持つことを明らかにした。高強度運動を行ったマウスへのタヒボポリフェノール投与により、血糖値の上昇、筋グリコーゲンレベルの上昇、糖新生の上昇が認められ、それらによって持久力の向上が促されることが示唆された。

※糖新生: 乳酸やアミノ酸、グリセロールから糖を生成する経路。運動や飢餓などにより糖が消費された場合に、糖を補充する。

 また筋障害マーカーについては、運動により上昇(つまり、筋が傷ついたということ)したが、タヒボポリフェノール投与による影響は見られなかった。このことより、運動によって引き起こされる筋障害は、筋持久力とはあまり関係しない、ということが示唆された。

 酸化ストレスは運動による疲労に関与します。リン酸化AMPKとSIRT1はともにPGC-1αと呼ばれる筋に重要なタンパク質の調節因子として知られています。SIRT1は赤ワインの成分であるレスベラトロールが活性化する因子としても有名です。これら因子もタヒボポリフェノールにより影響を受けることが明らかになりました。

 前回、ザクロ由来の天然因子が筋機能を向上させる、という論文をまとめました。

ザクロやベリー類に含まれるエラグ酸の代謝物ウロリチンAは筋機能を増加させる。
 今回まとめるのは、2016年に発表されたスイス連邦工科大学のオーウェル教授の研究グループが発表した論文です。ウロリチンAと呼ばれるザクロやベリー由来の天然因子の腸内細菌代謝物が、筋の機能を改善させるという大変素晴らしい論文です。...

本論文も同じように、タヒボポリフェノールは筋機能を向上させるということが分かりました。そして、どちらも機能は向上させるが、筋肉の量そのものには影響しないとのことです。これらを皮切りに、他の天然因子、例えば茶カテキンなどでもどこかで筋機能への作用の実験が実施されているかもしれませんね。

筋骨格研究食品因子
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生命・健康科学者のモノローグ

コメント

  1. 『疑似火星重力0.38Gにおけるレスベラトロール筋機能維持効果』を4コマ漫画も交えてまとめていく。 | 生命・健康科学を4コマ漫画を交えてまとめていく。 より:

    […] 筋持久力を向上させるタヒボ茶ポリフェノールSingle dose administration of Taheebo… […]

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