『重力変化による骨量・筋量への影響』を4コマ漫画も交えてまとめていく。

筋骨格研究
スポンサーリンク

Hypergravity and microgravity exhibited reversal effects on the bone and muscle mass in mice | 加重力・微小重力はマウス骨・筋量に対して逆の効果を与える

本論文は、JAXAと東京農工大学 稲田准教授による共同研究で、一部、第二回小動物飼育ミッション「MHU-2」の結果も入っております。

宇宙のような微小重力ではなく、重力が過剰にかかる、とどうなるでしょうか?

身近な例を挙げますと、筋肉トレーニングなどですね。重いダンベル・バーベル、または自重によって、筋肉に負荷をかけて、筋肥大を誘導します。
また、漫画・アニメ「ドラゴンボール」においても、重力を発生させたトレーニング室で修業しているシーン、というのが何度も出てきました。

本論文では、地上において遠心飼育装置を用いて、合計2G(地上が1G)加重力環境下にてマウスを飼育し、骨・筋がどうなるかを研究した成果になります。

論文を4コマ漫画でハイライト

遠心飼育装置を用いた加重力環境下におけるマウス飼育実験

 本論文ではJAXAと東京農工大学によって開発・改良された遠心飼育装置を用いて、地上において2G負荷を生み出す事に成功しています。

遠心飼育装置、Fig. 1a; Tominari T, et al. Sci Rep 9, 6614, 2019.
https://www.nature.com/articles/s41598-019-42829-z

遠心飼育装置は左図のようなものです。ゴンドラの先に設置してある箱内でマウスの飼育を行なったようです。

マウスの遠心飼育中の写真も論文中に載ってあります。遠心後1日目は加重力であまり動けず、食餌量・摂水量が著しく低下しており、それによって体重も減少しています。しかし3日目以降は、加重力環境に適応し、動き回るようになり、食餌・飲水・体重なども戻っていったようです。

第二回小動物飼育ミッション(MHU-2)

 2016年に第一回小動物飼育ミッション(MHU-1)が行われました。筑波大学と大阪大学が中心となり、宇宙でマウスの35日間長期飼育を達成したとのことです。

MHU-1における重力と骨・筋の関連性については、2017年にScientific Reports誌より発表されており、以前にまとめさせていただきました。。

 続く2017年に第二回小動物飼育ミッションが行われました。理化学研究所の大野先生のグループ、横浜市立大学の平野先生のグループが中心となったようです。

(補足)飼育装置と宇宙で飼育中のマウスの状態

 宇宙上での遠心飼育用のマウスケージや宇宙飼育中のマウスの動画についてはJAXAホームページにて公開されています。→ こちら

加重力および微小重力の骨・筋への影響

下肢筋肉量の測定
 下肢筋肉(ふくろはぎ周り)について、2G加重力によって筋肥大が確認されました。

筋組織における遺伝子解析
 下肢筋肉の遺伝子解析を行ったところ、筋肥大に関わるMyoD、Myogenin、Myf5、ミオシン重鎖(MyH)の有意な上昇が認められ、一方、筋萎縮に関わるユビキチンリガーゼの発現に減少傾向が見られ、オートファジー関連遺伝子が有位に減少していました。

骨量解析(上腕骨・大腿骨・脛骨・頭頂骨)
 骨量については、上腕骨、大腿骨、脛骨、頭頂骨において有意な増加が認められました。特に上腕骨の上昇率が高かったです。

骨髄の遺伝子解析
 骨量調節に関わる遺伝子の解析を行ったところ、骨形成に関わるBMP2、Col1a1などの発現が上昇しました。

宇宙マウスの骨解析(上腕骨・脛骨)
 MHU-2ミッションにおける宇宙マウスの骨解析では、上腕骨と脛骨の解析を行い、どちらも骨量の減少が認められました。宇宙マウスにおいては上腕骨より脛骨の方がより変化が認められました

結論・感想

 本論文と以前の報告を考慮し、重力と筋骨格系についてまとめますと、以下のようになります。

マウス画像は、HITEX HP マウス バリウムX線画像 より

 まとめて見てみますと、微小重力・加重力によって箇所によって影響の受けやすさが違うというところが面白いですね。4足動物の場合、微小重力では下肢、加重力では上肢が特に影響を受けています。

 私的には、マウスにおける加重力は、普段そこまで負荷をかけない上肢に負荷がかかるため(身体を支えようとするため)、普段と比べて負荷の変動率が高かったのではないでしょうか?一方で、微小重力の場合、普段上肢より下肢に負荷がかかっていたものの、それがなくなってしまったため、より影響がでてしまったのかと思います。

 このへんの考察は色々できるものの、実際実験して確かめるとなると、宇宙飼育なんてそうそうできませんし、遠心飼育も装置が必要になるため、なかなか機会がなさそうで残念です。

 JAXAと東北大学が主導した第3回目の宇宙ミッションも終わったそうなので、そちらの論文発表も楽しみです。

筋骨格研究
スポンサーリンク
fatezcをフォローする
生命・健康科学者のモノローグ

コメント

タイトルとURLをコピーしました