人とラットのかくれんぼ

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(c) HO / Reinhold, Sanguinetti-Scheck, Hartmann & Brecht / AFP
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Behavioral and neural correlates of hid-and-seek in rats | ラットのかくれんぼ

本論文は、ベルリン・フンボルド大学のBrechtらのグループによる研究です。

「ラットがかくれんぼをして遊ぶ」という非常にインパクトのある論文でした。

Behavioral and neural correlates of hide-and-seek in rats. - PubMed - NCBI
Science. 2019 Sep 13;365(6458):1180-1183. doi: 10.1126/science.aax4705. Research Support, Non-U.S. Gov't
Behavioral and neural correlates of hide-and-seek in rats
There is controversy regarding how widespread animal play behavior is and what its evolutionary function might be. Reinhold et al. demonstrated that rats can pl...

かくれんぼの方法(基本)

研究グループの一人はラットと下記の条件でかくらんぼをしました。もちろん、この実験を行なう前に、ラットにかくれんぼの練習をさせています。

かくれんぼ部屋:
広さ → 30 m^2 (16畳くらい)
隠れる場所 → 段ボールのついたて、透明な箱、黒い箱など7か所設置

ラットが探す側のとき:
1. ラットを箱に入れ、フタを閉める。
2. その間に実験者がどこかに隠れる。
3. フタを開けて、ラットが実験者を探す。
4. ラットが実験者を発見したら、触れ合って遊ぶ。
5. 実験者が鬼でもう一度かくれんぼを行う。

ラットが隠れる側のとき:
1. ラットを箱に入れ、フタは開けたままにする。
2. 実験者はその箱のすぐ側で動かずに身をかがめる。
3. 90秒程度でラットが箱から飛び出し、隠れる。
4. ラットが隠れ終わったら、探す。
4. 実験者がラットを発見したら、触れ合って遊ぶ。

3種類のかくれんぼによる分析結果

以下、3種類のルールのかくれんぼを行った。

Random Seek(ランダムかくれんぼ)
実験者はランダムに隠れる場所を選択する。

Visual Seek(見えるかくれんぼ)
実験者はラットが見ている中、適当な場所に隠れる。

Blocked Seek(見えないかくれんぼ)
実験者は5回同じ場所に隠れて、かくれんぼをする。
6回目の別の場所に隠れる。

Seek(かくれんぼの探す側)の結果

ラットが実験者を発見するまでの時間は、

Random Seek  平均80秒くらい
Visual Seek 平均20秒くらい

でした。当たり前といったら当たり前ですが、ラットはちゃんと見て判断してるんですね。

また、Blocked Seekでは、5回目まで同じ場所に隠れるため、回数を重ねるごとに時間が短縮していきました。

1回目:120秒
2回目:80秒
3回目:30秒
4回目:25秒
5回目:20秒
6回目(違う場所):100秒

しっかりと、前に隠れた場所を記憶しているんですね。

ちなみに時間切れになった割合についてもおおむね上述の時間と相関していました。

Hide(かくれんぼの隠れる側)の結果

それでは、逆に隠れる側としてはラットはどのような動きを見せるのでしょうか?
以下のような特徴が見られました。

  1. 隠れる場所についてはスタートBOXの近場を選ぶ傾向があったようです。
  2. 超音波についてもSeekの時に比べて、多く発していたとのことです。
  3. 隠れる場所については、毎回、同じところに隠れるよりかは別の場所を選んで隠れるみたいです。
  4. 隠れる場所については、黒い箱≒段ボールのついたての裏>透明な箱、の順に好んで隠れました。
  5. 見つかって少し実験者と戯れた後に、逃げて隠れなおす、といった行動をするラットも見られました。

超音波について

ラットは、かくれんぼを通して、例えば実験者と触れ合ってるときや見つかって/見つけてスタート箱に戻される時などに超音波を発していました。一方、隠れているときは超音波をあまり発していませんでした。

超音波を発する:
スタート箱に入るとき・スタート箱から出るとき
探すときより隠れるとき
実験者と触れ合うとき

超音波を控える:
隠れてるとき

結論・感想

この論文で、ラットというのは想像以上に頭が良いんだなと思いました。
探す戦略・隠れる戦略をしっかり考えており、人間には聞こえないものの超音波を発しているということも驚きでした。

探す戦略
眼を使うこと
過去の経験を活かすこと

隠れる戦略
透明な箱より黒い箱(周りから見えないように)を好むこと
隠れている間は静かにしていること
隠れる場所を変えること

そして、それら行動については、ただ探す・隠れるだけでなく、探して見つけた後・隠れて見つかった後に実験者と戯れて遊べるという報酬ありきということです。

また、楽しんでかくれんぼをしているそうです。例えば、見つかった後に隠れなおそうとしたり、声(超音波)を出したり潜めたり、楽しくてジャンプしたり、などです。とはいえ、何回もやっているとさすがに疲れも見えてきたようですが…。

もともとラットはマウスと違って世話をしてくれてる人に懐きます。とはいえ、かくれんぼを教えるのには苦労したと思いますが…。

脳神経系分野はあまり分からないのですが、非常に面白い論文でした。

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