前回、マルチビタミン&ミネラルのサプリについてまとめましたので、今回は各ビタミンやミネラルが身体でどのような機能を発揮しているかについてまとめていきます。
ビタミンA
ビタミンAは、レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称で、脂溶性ビタミン(油によく溶ける)です。
野菜や柑橘などに含まれるβカロテンやβクリプトキサンチンなどはプロビタミンA(ビタミンA前駆体)であり、摂取すると小腸で必要分だけビタミンAに変換されます。
ビタミンAの機能性
- 眼の保護作用
- 皮膚の保護作用
- 免疫力の強化
プロビタミンA
プロビタミンAの中で最もビタミンA効果が高いのはβカロテンです。他にαカロテンやγカロテンがありますが、βカロテンよりかは効果が落ちます。
またβカロテンなどカロテノイドと呼ばれる化合物群はプロビタミンAとしての効果だけでなく、カロテノイドそのものが抗酸化作用を示したり、と様々な生理活性を持つことも広く研究されています。
ビタミンAの摂取量
サプリなどのビタミンA量は ug (micro g) RAE と表記されることがあります。RAEとはRetinol activity equivalentsのことでレチノール活性当量と訳します。
レチノール活性当量 (ug RAE) = レチノール ug + βカロテン ug × 1/12 + 他のプロビタミンA (αカロテンやβクリプトキサンチン) × 1/24
ビタミンAは上述した通り、脂溶性ビタミンであるため、体内に蓄積しやすく(尿と一緒に排出されにくい)、過剰摂取による副作用が報告されています。
成人(18歳以上)の上限は男女ともに2,700 ugです。これにはプロビタミンAは含みません。
ただし、βカロテンなどプロビタミンAに関しては、上限は決まっておりません。これはなぜかというと、プロビタミンAからビタミンAへの変換は必要に応じて行われるため、過剰に摂取しても過剰分はビタミンAに変換されないからです。
ビタミンAの不足・過剰症
ビタミンA不足:暗視力の低下、皮膚乾燥、免疫力の低下、成長不振など
ビタミンA過剰:頭痛、脳圧上昇、脱毛、筋肉痛、食欲不振など
ビタミンAは、豚・鶏やあんこう、うなぎ、あゆなどの内臓(特に肝)に多量に含まれるため、非常に多く含まれています(100g当たり、4,000 ~ 15,000 ug)。これらの食べ過ぎには注意した方がよさそうです。
一方、βカロテンについては、もともと赤橙色の色素であるため、にんじんなど緑黄色野菜に多く含まれています。プロビタミンAであるため、食べ過ぎても問題ないかと思います。
ビタミンB
ビタミンBは水溶性ビタミンであり、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビオチン、葉酸、ビタミンB12の8種類が挙げられます。
ビタミンBの性能性
ビタミンBの摂取量
ビタミンBは水溶性であるために、過剰分は尿で体外へ排出されやすく(体内に蓄積しにくい)、基本的に摂取上限は設定されておりません。
ただし下の2種については、過剰摂取による副作用が報告されています。
ナイアシンは、成人男性で300 mg NE、成人女性で250 mg NEの摂取上限があります。
※ナイアシン当量 mg NE = ナイアシン mg + トリプトファン mg × 1/60
ビタミンB6は、成人男性で55 mg、成人女性で45 mgという摂取上限が設定されています。
ビタミンBの不足・過剰
また、ナイアシン過剰摂取は、消化不良・肝機能低下など、ビタミンB6過剰摂取は、感覚神経障害などが起こるという副作用が報告されています。
ビタミンC
ビタミンCは水溶性ビタミンの一つで、アスコルビン酸とも呼ばれます。
ビタミンCの機能性
- コラーゲンの合成
- 抗酸化作用(抗ガン・抗老化)
- ビタミンEの再生
- 風邪の予防
ビタミンCの摂取量
水溶性ビタミンであるため、体外に排出されやすく、摂取上限は決められておりません。しかし、サプリなどで摂取する場合、1日当たり1,000 mgまでが良いとされています(1,000 mg以上は控えた方がよい)。
ビタミンCの不足・過剰
ビタミンC不足:壊血病、皮下出血、貧血、骨形成不全
ビタミンD
ビタミンDは脂溶性ビタミンで、D2~D7の6種類がありますが、高い生理活性を有するのはD2とD3です。
ビタミンD3は、皮膚に存在するプロビタミンD3が紫外線に当たる事で合成されることも知られており、1日5分~10分でも日光を浴びることが、骨の健康に良いとされています。実際に、骨粗鬆症の治療薬として、ビタミンD3製剤が使用されています。
ビタミンDの機能性
- 血中カルシウム濃度を高める
- 骨・歯の形成促進
- 神経伝達の保護
- 筋収縮の保護
- 免疫系
ビタミンDの摂取量
脂溶性ビタミンであるため、尿で体外には排出されにくく、体内に蓄積されやすいです。
成人におけるビタミンDの摂取上限は、男女ともに100 ugです。
ビタミンDの不足・過剰
ビタミンD不足: 低カルシウム血症、骨粗鬆症、骨成長障害など
ビタミンD過剰:高カルシウム血症、肝障害、腎障害、高血圧、尿毒症など
ビタミンE
ビタミンEは、4種のトコフェロールと4種のトコトリエノールの計8種の脂溶性ビタミンのことで、そのほとんどはαトコフェロールです。細胞膜に局在し、膜上で強力な抗酸化作用を示します。
ビタミンEの機能性
- 生体膜における強い抗酸化作用(+抗老化)
- 血中LDLコレステロールの酸化抑制
ビタミンEの摂取量
脂溶性ビタミンであるため、尿で体外には排出されにくく、体内に蓄積されやすいです。脂溶性ビタミンの中では比較的蓄積されにくい方であるらしいです。
ビタミンEの摂取上限は、成人男性で800 mg、成人女性で650 mgくらいとなっています。
ビタミンEの不足・過剰
ビタミンE不足:神経障害、筋萎縮、皮膚老化、動脈硬化など
ビタミンE過剰:骨粗鬆症
ビタミンK
ビタミンKは脂溶性ビタミンであり、天然にはK1とK2が存在しています。
ビタミンKの機能性
- 骨形成
- 血液凝固(出血を止める)
ビタミンKの摂取量
脂溶性ビタミンですが、ビタミンKを多量に摂取しても副作用が見られないことから、摂取上限は決められておりません。
ビタミンKの不足・過剰
ビタミンK不足:ビタミンK欠乏性出血症(主に新生児や乳児)、骨粗鬆症、動脈硬化
まとめ
ビタミン類について表にまとめます。

平均摂取量は日本人1日当たりの摂取量(参考: 厚生労働省平成27年国民健康・栄養調査報告 )
こうしてみると、しっかりと食事を摂っていれば、日本人の多くはビタミン類の目安摂取量にはだいたい届いているんですね。
もちろん、目安摂取量に届いている、つまり健康を損なわない程度の量は摂っているということであり、仕事が激務であったり、運動・トレーニングでヘトヘトであったり、もっと元気になりたいという場合は、サプリなどでもっと摂取するといいと思います。
上限摂取量についても、本当にサプリをガブガブ飲んだりとかしない限り、簡単に達するようなものでもありmせん。
参考リスト:
健康長寿ネット、Wikipedia各ビタミンの項目、「統合医療」情報発信サイト、厚生労働省平成27年国民健康・栄養調査報告
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