「早食い」は糖尿病の危険因子となる(日本人対象)

肥満・糖尿病研究
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Fast eating is a strong risk factor for new-onset diabetes among the Japanese general population日本人において、早食いは糖尿病発症の強力な危険因子となる

ちょっと身近な内容で面白そうな論文を見つけたので読んでみました。

タイトルは、
日本人の一般住民において、早食いは糖尿病発症の危険因子となる
Fast eating is a strong risk factor for new-onset diabetes among the Japanese general population
ということです。

概要

 糖尿病の起こり始めと食事の量・タイプ・頻度の関連性についての研究は広くされているが、どのような食事をしたのか(例えば朝食抜き、食事や間食の食べる速さ)と糖尿病の発病との関連性についてはあまり報告がない。本論文では、日本人を対象に、食生活(朝食抜きや間食)だけでなく、食べるスピードにも注目し、糖尿病発症との関連性を調査した。健康な197,825人を対象に、食生活(食べるスピード、夕食や寝る前の間食、朝食抜き)に対する質問・回答を記録し、3年間調査を行った。
 その結果、糖尿病の発症率が高かったのは、食べるスピードが速い(早食いの)人、夕食後に間食を摂る人、寝る前に間食を摂る人、朝食を抜く人らであった。早食いではない人と比べて、早食いの人のほとんどは、年齢が若く、BMIが高く、20歳以降の体重増加が見られ、1年以内に3kg以上の体重変動を経験した人であった。早食いの人の糖尿病リスクは、様々な因子(年齢、体重、体重変化、血圧、喫煙、アルコール消費)を考慮しても、明らかなものであった。他の食生活習慣(間食や朝食抜き)は糖尿病発症の独立予測因子(つまり、これらは糖尿病発症にそこまで関与していないということ)ではなかった。
 以上より、早食いは食生活において唯一の糖尿病発症の危険因子であった。早食いを避けることは、糖尿病の予防に有用であるかどうか、さらなる評価が必要である。

明らかになったこと

 本論文で明らかになったのは以下の4点です。

  1. 早食いの人は、夕食後の間食・就寝前の間食・朝食抜きの人らに比べて、糖尿病の発症率が高かった。
  2. 早食いの人は、年齢が若く、高BMIであり、体重増加が顕著であり、1年で体重が3kg以上増加した経験がある、という傾向がありました。
  3. 早食いの人の糖尿病進行リスクは、様々な要因(年齢、体重、体重変化、血圧、喫煙、アルコール消費量)をふまえても、確かなものであった。
  4. 他の食生活習慣(間食、朝食抜き)は、糖尿病のリスクとはそこまで明らかな相関はなかった。

食生活習慣と糖尿病

これまでは、以下の食生活習慣が糖尿病の危険因子であると報告されていました。

  • 朝食抜き
  • 間食
  • 過食

本調査では、「早食い」もまた糖尿病の発症リスクになりうるということが明らかになりました。
さらに、早食いは、肥満や他の食生活習慣とは関係なく、糖尿病リスクとなりうることが分かりました。

早食いの人の特徴

本調査で、早食いの人は以下の特徴を示しました。

  • 年齢が若い
  • BMIが高い
  • 腹囲が大きい
  • HDL値が低い
  • 中性脂肪値が高い
  • 体重増加が大きい

なぜ早食いが糖尿病のリスクとなるのか?

食生活習慣と糖尿病の関連性は多々報告がありますが、なぜ?と問われると、詳しくはまだ分かっていません。現在のところ、肥満依存的なメカニズム、肥満非依存的なメカニズムが存在すると提案されています。

肥満依存メカニズム
 仕事場のストレスが早食いに影響すると報告があります。想像がつく方も多いと思いますが、仕事によるストレスによって、早食いになったり過食になったりするということです。これらはもちろん肥満につながります。特にフルタイムで働くのは女性に比べて男性が多い日本では(近年、フルタイムで働く女性も非常に増えてきていますが)、男性の方が肥満率が高い傾向にあります(BMI 25以上の比率:男性 28.9 % vs 女性 19.9 %)。また、本調査では早食いの割合も男性が多いという結果になりました。つまり、早食いや肥満は仕事のストレスにより増加する傾向があるということです。また本調査で、糖尿病患者には、早食いや肥満の人が比較的多いという結果になりました。
 以上より、早食いは肥満につながり、その結果糖尿病にもなりやすくなるという肥満依存的なメカニズムです。

肥満非依存メカニズム
 糖尿病は、体重増加に関係なく早食いの人で発症しやすくなっています。以下が、その理由となります。

  1. 早食いの人は、食後のエネルギー消費が減少します。
  2. 食事の際の咀嚼回数が減ると、咀嚼後90分・240分でのグルコースとインスリン濃度が高くなります。
  3. 軟らかい餌と食べたラットは(つまり咀嚼の回数を減らしたラット)、糖尿病のリスクが増加したという報告があります。
    ※やや専門用語を用いて述べると、食後の高血糖、高インスリン血濃度は肝臓におけるIRS2発現を減少させ、AKTリン酸化を誘導しなかった、とのことです。
  4. 本調査で、アルコール摂取(飲酒)の有無に関わらず、早食いの人は糖尿病リスクが高かったです。
    ※よく飲酒する人は、例えばおつまみなどでカロリーを過剰摂取して太りやすいですよね。

 これらより、早食いは肥満とは関係なく糖尿病になりやすい、というのが肥満非依存的なメカニズムです。

結論・感想

 本論文の結論は、何度も述べたように、
早食いは、他の食生活習慣に比べて、糖尿病発症の危険因子となりうる
ということです。

 もちろん今回の論文の結論は、糖尿病と食生活習慣の関連性を研究した数多くある研究成果の一つです。最も一般的な2型糖尿病は、食生活・運動不足・加齢などの環境要因と体質などの遺伝要因により発症すると考えられています。実際に2型糖尿病と肥満は併発していることが多いです。様々な環境要因が糖尿病発症に関わっているため、食生活が悪いと身体の中でどんなことが起こって糖尿病になってしまうのか、を突き止めることは非常に困難だと思います。インスリン抵抗性というのも非常にやっかいです。
 糖尿病は非常に大変な病気なので、日々の生活習慣に気を付けて、できるだけ予防に取り組んでいきたい、と思います。

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